#09 Ed Templeton / Founder of TOY MACHINE,Artist,Photographer and Skateboarder
アーティストやクリエイターたちとのコラボレーションや密な関わりは、クリエイティブに真摯に向き合うことができる、特別で大切な時間です。彼らの前向きなプライドやメンタリティに共感し、声に耳を傾けること。それを多くの人に届けることで、WIND AND SEAは、常に進化をしています。
09はスケートボーダーとしてキャリアをスタートし、グラフィック、アートワーク、写真家として。肩書きを定められないアーティスト、エド・テンプルトン。33年続けるスケートボードブランド「TOY MACHINE」について。自身のアート活動について。時に曖昧になる両者の境界線の中で、何を大切にして活動しているのか。
スケートボードへの関心は
今も変わらない。興味も対象は
常にアンダーグラウンド
10代の頃は、ほとんどの時間をスケートボードとアートの制作に費やしていたね。1985年にスケートボードを初めて、18歳だった90年にプロに転向した。93年にスケートボードのブランド「TOY MACHINE」を立ち上げて、その頃からギャラリーでアート作品の展示も始めたと思う。妻のディアナとは86年に出会い、91年に結婚したんだ。
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長年、スポンサードしてくれたNew Dealを1992年に離れて、マイク・ヴァレリー(*)とTelevisionという会社を立ち上げたんだけど、すぐに崩壊してしまい、仕事もスポンサーもすべて失ってしまったんだ。すぐにいろいろな人と会社を立ち上げようと試みたんだが、その当時はスケートボードの業界はとても厳しい時期だった。それでも自分には多くのアイデアがあったし、自分にスポンサー契約を望んでくれるスケーターたちもたくさんいた。で、ようやく93年にいいパートナーが見つかって「TOY MACHINE」を立ち上げたんだ。翌年にはすぐにトッド・スワンクとのパートナーシップを結び、今も一緒に仕事をしているよ。
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ブランドも今年33周年を迎えるんだ。振り返ると哲学的なところは何も変わってはいない。もちろんメンバーは入れ替わっているし、俺もいろいろ学んできたからアートワークはレベルアップしている。練習は完璧を生むってことだ。ただ、ブランドのあり方は変わらない。創造性やアート、そしてスケートボードを大切にしている。大企業を茶化してみたり、プログレッシブな価値観を掲げながらね。何事も深刻に考えすぎずに、純粋にスケートボードを楽しんでいるよ。
絵画や写真、つまり個人的なアートワークと「TOY MACHINE」のために手がけるグラフィックやイラストはまったく別のものだと考えている。「TOY MACHINE」のキャラクターやドローイングを期待してエド・テンプルトンの個展に来てくれる人も多いけど、彼らはみな郊外の生活を捉えたストリートフォトや絵画を見て驚いているさ。でも、どっちのスタイルにも同じアイデアが反映されていることが多い。大事にしているのは、ユニークでありインディペンデントであること。そのためにオリジナリティが必要なんだ。それもあって、俺は手書きのアートワークは続けているよ。コンピュータに何かを任せたり、頼るのは好きじゃない。「手作り」という要素が独自性を保っているんだ。

メジャー競技になって、オリンピック種目になって、テレビで世界中に放映されて。スケートボードは絶えず新しい世界へと広がり続けていると思う。もう以前ほど滑ることはないけど、スケートボードへの関心は昔と今でも変わらないね。クールな映像を見るのは好きだし、面白いボードグラフィックを見ることも、作ることも大好きだ。興味の対象は常に自分のルーツである、アンダーグラウンドな部分にあるんだ。
そして自分の写真も進化し続けていると思う。何年も同じことを繰り返してくと、ビジョンもクリアになっていくし、時間とともに技術も磨かれていくものだ。マンネリに陥ったり、機材を変えることもあるけれど、世界の見方や瞬間の捉え方は、願わくばより詩的なものになっていきたい。
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一過性のブームには乗らない。
ルーツに忠実に生きた証の作品が
世の中と分かち合えればいい
最近は一日のほとんどをディアナとともに、自宅のスタジオや暗室で過ごしている。ブランドのため、自分ためにアート制作に費やしているけど、今でも毎日が挑戦と発見の連続なんだ。グラフィックに締め切りがある時は、そのための絵を描いたり、スキャンしたりしてアートワークに追われているし、それ以外の日はガレージでドローイングしている。海外に旅行へ行く時は長期滞在して、写真を撮ることを楽しんでいるかな。
日本にはできるだけ頻繁に、できれば年に一度は訪れたいと思っている。そしてまだ行ったことのない都市や地域を旅しては、散歩や撮影を楽しんでいるよ。日本人はとても親切でフレンドリーだし、カメラの文化が根付いているから写真を撮っていても誰も気にしない。それがいい。そして素晴らしいギャラリーや書店がたくさんある。日本の色彩やデザイン、スタイルが俺の作品に影響を与えているのは間違いないね。また社会的な混沌に慣れ過ぎているアメリカ人として、日本の礼儀正しさや秩序のある社会は驚かされることばかりだ。静かなところも心地が良いしね。だからどこに行っても夢中になってしまうんだ。
政治的な立場や、ストリートにルーツがある俺のバックグラウンドが、メジャーであることから距離を置いているというか、本来あるべきよりも目立たない存在にさせてきたのかもしれない。それはグラフィック、絵画、写真と手がけていることが多岐に渡るせいで、みんなが俺を理解しにくいのかも。ただ「TOY MACHINE」で貫いているのは、常に「A BIG SMALL COMPANY,AND A SMALL BIG COMPANY」であることさ。熱心なファンに支えられつつも、大きなものに巻き込まれることなく、いつも絶妙な場所に居続けてきた。そう、俺たちは自分のルーツに忠実であり続けてきただけなんだ。一歩ずつ、着実に前に進んでいているだけ。一過性のブームや一時的な流行には決して乗ることはない。友人のKAWSやBarry McGeeみたいに大物にはなれないかもしれないけど、作品を作り続け、それを世界と分かち合えれば、それでいいと思ってるよ。
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Founder of TOYMACHINE
Ed Templeton / エド・テンプルトン
1972年生まれ。米国カリフォルニア州ハンティトンビーチを拠点に、90年代のスケートシーンから現在まで活躍し続ける生粋のスケーターであり、写真・グラフィック・ドローイング・コラージュを横断する制作を結びつけてきたアーティスト。スケートボード会社、TOY MACHINEの創設者であり、現在も精力的に活動している。


